18/04/18 【世界思想 45号(春号)】ポスト真実時代(世界思想社)

本屋さんレジ横のフリーの本。初めて手に取りました。112ページ。

特集は、メデイアレテラシー(沢山の情報、メデイアを評価し、必要な情報を識別し、その真偽を見抜いて活用する能力)。発信された情報には、程度の差はあれ、何かしらの偽りや嘘、隠蔽、誇張等が入っているため、情報の信頼性、意図、目的を読み取る力が我々に必要とのこと。

 

巻頭は、フリージャーナリスト、キャスターで1993年〜2016年NHKクローズアップ現代のキャスターを務めていた国谷裕子氏(くにや ひろこ1957〜)の「ポスト真実時代のジャーナリズムの役割」。秀逸。

 

ポスト真実(post−truth)」。

2016年オックスフォード大学の今年の言葉に選出されました。「客観的真実が重視されなくなり、自分への感情に寄り添い、共感される情報が重要視されること。(騙されたい嘘)」

例として2016年6月イギリスがEUからの離脱国民投票で、離脱メリットとしてEU拠出金負担の過剰な軽減が宣伝されたため、投票行動に影響した等。

 

国谷氏はこの流れに対して、

「これまでの自分の仕事を否定されるほどの衝撃を受けた。真実・事実を踏まえて判断するのが民主主義である。SNS等を通じて自分が共感する情報しか入らなくなることで、多様な考え方・文化を知る機会が少なくなり、異質への「排他」がでてくるのでは」と民主主義への警笛を鳴らしてます。

 

無意識の行動になるので、これから意識して情報に接することが必要ですね・

 

他の寄稿も、いづれも深い内容の一冊です。紹介されている出版本学術、教養、教育が中心の良書です。

 

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最後に、代表の創業70周年ご挨拶が掲載。読書の中身(コンテンツ、ソフト)は、ITやAIにできないものがある。

出版は創造的な仕事であり、次世代につなげていく。

心強い内容です。

この冊子を手に取るまでは、会社名も内容も知りませんでした。もったいない。

70周年おめでとうございます。

そしてこれから本を手にとらさせていただきます。