18/04/25【本の窓 5月号】朝(あした)の紅顔 夕(ゆうべ)の白骨(菅原文子)(小学館)

小学館の月刊PR雑誌の巻頭エッセイから。著者菅原文子(すがわら ふみこ 1942年生)氏は、俳優故菅原文太氏(1933〜2014)の妻。文太氏生前から山梨県で無農薬有機農業をしている。

今回は、文子氏の食事/美味探訪と同じ位の楽しみである読書に関するエッセイ。

ドイツ生まれ実存主義で有名な哲学家ニーチェ(1844〜1900)の遺書「この人を見よ」の読後感。鮮烈。

私も急遽購入して読み始めてます。「この人」とは、「ニーチェ本人」ではないかと私は考えてます。ニーチェは最後は発狂したといわれており、自分を最高の人物とした大前提で、自分の過去の著作物の振り返りなどを書いてます。天狗です。文子氏のエッセイにも記載がありますが、私も、「遺書」として周りに配慮することなく自分の想いを書いた本ではないかと感じました。

 

それにしても、「仁義なき戦い」「トラック野郎」の文太氏が晩年有機農業をし、それを広げる講演活動等もしていたとは意外でした。WEBで調べていると、農薬・化学肥料を使った農業に危機感を感じた文太氏の日本の将来を考えた上での行動とのこと。深い人だったんですね。

文子氏「私の思考のテーマは、自分の位置情報を探すこと。人間は水平軸(世界と日本)と時間軸(歴史と未来)の交点に生きている。その位置を確かめ足場を作らないと、ふわっとと風船のように浮かんだまま、いつのひか空気が抜けて萎むようにして死んでゆく」

奥さんも深い人でした。

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